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【第一回】京都移住計画 田村さん【La Vitaプロジェクト】

田村 篤史
1984 京都生まれ。立命館大学在学中、APUへ交換留学、NPO出資のカフェ経営に携わる。その後休学しPRや企画を行うベンチャーにて経験を積み、卒業後は海外放浪の末、東京の人材系企業に就職。会社員の傍らシェアハウス運営なども行う。2012年に京都へUターンし「京都移住計画」を中心に、町家活用のシェアオフィス運営や商店街活性といった地域に関わる仕事や、大学でのキャリアデザインやPBLなどの講義も行う。「人と人、人と場のつながりを紡ぐ」をミッションに、2015年株式会社ツナグムを起業。2014 『京都移住計画』出版
 

「ワークとライフの重なった生き方」
田村さんは28歳まで東京で働いていた。住みたくない場所に住み、乗りたくない満員電車に乗り、そこまで食べたくないコンビニ弁当を食べている。それを見ると、自分の意志で生きるということの選択ができていないと思う。忙しすぎるとそのことにすら気づかない人も多い。ワークライフバランスという言葉があるが、田村さん自身はワークとライフを分けてしまわずに重ねて生きていくほうが良いのではと考えている。仕事をしている時の自分とプライベートの時の自分が、別人格のように切り離されてしまわない生き方のほうが、自分にうそをつかずに生きていける
このワークとライフを重ねた生き方をするためには、東京より地域との距離が近い京都の方がワークとライフの重なった働き方をできるかと思った。そこで今、Uターンで京都に戻り、このワークとライフの重なった生き方をしようとしている。
 
  「自分ごとみんなごと」
 田村さんは東京から京都に帰りたいという思いから始めた事業を通して、行政と協同の事業をするまでになるなど、自分ごと周り巻き込んでみんなごとにする人だ。そこには田村さんの人柄の良さがあるのだろうと思い、人と話す時に心がけていることを聞いてみた。
 「人と話す時に、相手が何に困っていて、どんなことをしたいかを探していて、それが自分のやりたいことや、自分が知っている情報と重なるところはないか見ています。相手が自分と同じことを思っているのなら、自分のプロジェクトに誘えるし、自分と違っていても相手と同じ考えの人を紹介できれば、その人たちにとってはすごくいいことになる。そういうお互いにハッピーになれる場がとても好きで、どうしたらそんな場を作れるのかと考えています。」
   田村さんが自分ごとをみんなごとにしてしまえるのは、相手のことを知り、自分のことを伝え、誰かを紹介したり、誰かに紹介されたりできる「人の繋がり」を作るのがとても上手だからなのだろう。それも、意図を感じさせない自然な流れで、結果としてそうなっているところに、田村さんの人柄が感じられる。
 
 
「本当の理想」
京都へのUターンを決行した時は、これからの不安よりも、何者でもない自分にワクワクしていたという。そんな田村さんに「今、何者でもない自分になれるなら?」と聞くと、「とりあえず、子供とずっと遊んでいたい。それから溜まっているをひたすら読みたい。旅行にも行きたい。」など沢山挙げてくれた今は休みが無いわけでは無いが、まとまった休暇をとりづらく、長期旅行などには行けないという。そして、「でもね、みんな(取材者達)が社会人になる頃には、そういう状況でも働ける働き方はあるはず…」と田村さん。さらに「お金になるかならんかわからん相談をひたすら受け続けて働ける状態ってどうやったら実現できるだろうかたまに妄想してます(笑)」とも。
     自分のやりたいことをそのまま仕事にする。そして、その仕事は生活から切り離されず密着している。そんな、言わば仕事と生活の究極的な融合を、田村さんは目指しているのかもしれない。